眠れない。
眠れない。眠れない・・・・。
日付が変わって5月1日。
大切な日の前夜。
眠れなくて、
やっぱり思い出すと辛くて。
でも、もう尭志にまで辛い思いをさせたくなかったから、
言わなかった。
黙ってた。
1日も、ジュニアに関して、中絶した自分の情けなさや辛い気持ちを言わなかった。
言わなくても、きっと分かってくれてたと想う。
そして、眠れなかったその時、隣から聞こえてくる赤ちゃんの泣き声。
夜泣き。
泣いてるよ
叫んでるよ
止まらないよ
人の泣き声・叫び声・・・・
苦しい
苦しい
ねぇ、何がそんなにさせているの?
赤ちゃんはどうして、不満そうな声を出すの?
分からない。
いつもはスグに泣き止むのに、その日は中々泣き止まなかった。
と、いうか、人が動いた気配がなかった。
親は、何をしているのかな・・・・。
子育てはとても大変だと想う。
だから、子供が泣いてようが、暴れまくってようが、気にしない。
子供は伸び伸びと育って欲しいから。
注意するなら、「近所の人に言われたから」ではなく、親が自発的に気付いて注意してほしいと想うから。
声が頭ん中でコダマする。
がんがん響いてきて
そして
真っ白。
鞆絵は何かものを投げた。
硬いものじゃなかったと想うけど。
そして声を上げた。
何を言ったか分からない。
でも、部屋中を動き回り
喚き散らし、息が、うまくできなかった。
苦しかったし、辛かった。
尭志は寝ていたけど、鞆絵がパニックになってすぐに起きた。
びっくりしていたと想う。
余り覚えてない。
気が付いたら、空が明るかった。
スズメの鳴き声が聞こえた。
カラスが何か言ってた。
ベッドではなく、床に鞆絵は転がっていた。
朝・・・・。
朝か・・・・・・。
心が落ち着いた。
ベッドに入って、昼前くらいまで眠ろう。
そして、ジュニアのために、食べきれないほどのご馳走を作って、
皆で食卓を囲もう。
本当はね、
赤ちゃんの泣き声が心に突き刺さったのは、今までずっとで・・・
でも、抑えていた。
今回は抑えきれなかったけど・・・・。
自分が出来なかった事。
自分で殺してしまった事。
命。
辛く重いけど、事実。現実。
どうか、お隣の赤ちゃんは、親から沢山の愛情を受け取っていますように・・・・。
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